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2011 年3 月1 日時点での主要市場見通し

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☆2011 年3 月1 日時点での主要市場見通し
主要市場見通し(2011年3月1日時点)

予想レンジを一部微調整したが、これは
①6月までの見通しについて、現時点から6月末までの時間が少なくなったことに伴い、下値不安が小さいと考える資産について、予想レンジを狭めるため下限を若干引き上げた(日経平均:10000 円→10300 円、ユーロ:107 円→110 円、豪ドル:80 円→81 円)ことと、②6月までの見通しと7月以降の見通しの接合部の具合から(また、現在の相場水準も踏まえて)、7月以降見通しの下限を若干修正した(米ドル:90 円→85 円、ユーロ:110 円→112 円)ことによる。大枠のシナリオに変更はない。

☆見通しの背景

1.中東を中心とした一連の政変については、世界市場は一時かなり悲観的なシナリオまで織り込んだと推察

・「一難去ってまた一難」とでも言うかのように、2月の世界市場は、チュニジアからエジプトに及んだ民主化デモの波がリビアに及ぶに至って、一段の波乱に襲われた。

・今後中東発の政情不安について考えるポイントは、
(1)政情不安がリビアまでに止まった場合の影響はどうか
(2)リビア以外の国に政情不安が広がった場合はどうかという2段階で考えられるだろう。また(2)は、さらに
①サウジアラビアなどの有力な中東産油国に深刻な政変が広がるか
②全く別の地区(たとえば東アジアなど)の諸国にも広がるかの2つに分けて考えられる。

・市場は、一時①の不安シナリオまでをも、相当織り込んだと考えられる。②のような、中国・北朝鮮等の政情不安には余り高い可能性を市場は与えなかっただろう(もしその可能性を高いとみていれば、中国株が暴落していたはず)。しかし①の懸念は十分織り込み、そのため一時WTI原油先物価格が103.41 ドルの高値(日本時間2/24 の16:40 頃)まで上ブレしたと考えられる。それを受けて、景気が弱い(したがって原油需要が弱い)にもかかわらず、原油の供給要因から価格が上がるという、スタグフレーション(景気悪化+インフレ高進)シナリオのリスク(加えて、景気が悪いのにインフレ対応のため金利が上がるかもしれない、との懸念)を意識する展開となり、世界的な株価の波乱と円高気味の推移が引き起こされた。

・しかしこうした市場の悲観論の織り込みに対して、現時点では(予断は許さないが)リビア以外の諸国に政情不安がどんどん広がる形ではない。むしろリビアでの流血の事態を知って、他国では運動の過激さがかえって抑制されているとの観測もある。識者の間では、次に政情不安が起こりやすいのはアルジェリア、バーレーン、イエメンとの指摘も聞かれるが、それらの諸国では政治体制がエジプトやリビアほど強権ではなく(したがって国民の不満もそれほどではなく)、たとえばアルジェリアは対外債務がないので国民の不満を和らげるための経済政策を打ち出す資金があるという意見も多い。バーレーンもサウジアラビアが資金的にバックアップするとの見通しもある。

・すると市場が(2)①の可能性を相当織り込んだのに対し、実際にはその可能性があまり高くないとすれば、一時の市場は波乱をみせ過ぎたことになる。

・また(1)のように、混乱がリビアに止まった場合は、リビアの原油生産量(日量160万バレル)のうち、現時点で既に100 万バレルの生産に支障が生じていると言われている(しかもさらに増える恐れがある)。これに対しサウジアラビアが、生産量を現在の860万バレルから900 万バレルに40 万バレル増やすと発表した。これだけでは、リビアの生産減を埋め合わせるに十分ではないが、サウジの生産能力は1200 万バレル(すなわち増産後の900 万バレルよりさらに300 万バレル上)と見込まれており、リビア分を埋めることは可能と推察される。
・このようにサウジ等の産油国が増産に前向きなのは、原油価格が90 ドルを超えるような事態では、かえって原油需要の減退(世界景気の悪化や省エネ機運の強まり)を招きかねない、という危機感があるからだ。産油国にとって望ましいのは、原油輸出金額(=原油価格×原油輸出数量)が増大することだ。原油価格は70~80 ドルで推移、というのが、主要産油国の理想なのだろう(サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相の発言など)。
・また原油輸出はリビアにとって欠かせない貴重な外貨獲得の手段なので、リビアの政体がどうなろうと、短期的な混乱ののちは、原油輸出を余り間をおかずに再開しようと努めるだろう。

・以上より、混乱がリビアに止まった場合も、世界市場の改善が予想されると言える。

・こうした論点を踏まえると、先週後半から今週初にかけて、原油先物価格がやや落ち着き、内外株価が底入れ上昇の動きをみせた(多くの市場において、2/24 が底値)ことは、自然な動きであったと考えられる。また為替相場も、一時のリスク回避のための円高が一巡し、外貨は対円で底入れの形を示している。


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